平山信一の「今日のひとりごと。」ブログ100回記念SP!小林泰正選手独占インタビュー

平山です。前橋花火大会を見に行きました。
先日、100回を迎えました「平山信一の今日のひとりごと」。その100回記念が「何だよコタツ記事かよ」という内容でしたが、いやいや違うんですよ。
今日、この記事のためにコタツ記事にしたんです。今回は特別編です。小林泰正選手に独占インタビューを敢行しました。
私のテーマは「小林泰正の現在地・そして未来」と決めてインタビューに臨みましたが、どんなインタビューになったか、3,000字を超える長編ですが最後までぜひお読みください!

■Chapter1:ケガ

(インタビューは8月4日の三山王冠優勝報告会の日でした)

-で、どうしちゃったの!松葉杖って聞いたんだけど。

小林泰正選手(以下小林):
練習中に落車してしまって・・・。下半身をケガしてしまいました。
S級S班が狙える位置なので、平塚オールスターは悩んでいるのですが(その後欠場)、腰もやってしまって・・・。
腰は長引くと聞きますし、焦ってその後をダメにしてしまうよりしっかりとケアして共同や親王牌、競輪祭に勝負をかけたいなと思っています。

■Chapter2:小林泰正の過去と今と

-私が実況したレースがどんなレースだったかを全選手ルーズリーフにメモしてあって、これが小林選手のなんですが…
2018年7月14日第5レース・1失B斜行 J過ぎカマシ1コーナーハウスして…

小林:
デビュー戦ですね。
そのデビュー戦と、前橋でのA級1,2班初戦(2018年12月23日~25日)はとても覚えていて、準決勝で失敗(最終ホームインに詰まって6着)して、次の日とても気合を入れて青板から誘導を外して突っ張り先行した(補足:この時は残り3周で誘導を外すのは失格ではなく重注でした)のはよく覚えています。
あと地元で覚えているのはS級戦で連勝で勝ち上がった時があったのですが(2021年4月7日~9日)、決勝は(菊池)岳仁(選手)の3番手を回ったのです。
準決勝終わって具合が悪くなって、番手が木暮(安由)さんで、「すみません」と。

-このあたりの時期と、今と、何が変わりました?練習だったり、意識だったり。

小林:
練習内容は常に変化していてますね。
「こんなやり方があるよ。」といった情報を聞いて取り入れたりしているので比較はできないですが、選手としての意識は変わりました。
「あー、ここで行けば良かった。」と負けることがなくなりました。 力負けだったとしても、「出し切る」ことが出来ています。

-ちょっと前だったかな、いわき平競輪の配信に出ていた時、平原康多選手を連れてのレースがあって(2020年7月11日サマーナイトフェスティバル7レース準決勝 9着)、ビッグレース初準決勝だったと思うのです。
ただ、「泰正、行けるぞ?行くのか?行かないのか!!」というタイミングが赤板からずっとあって・・・。

小林:
その頃は何というか・・・自分で何とかしよう、自分でもっとできると思っていてレースは組み立てていたのですが、やっと競輪の組み立て方、個のプレーとラインのプレーとは違うじゃないですか。
そのあたりがようやくわかってきたのかなと思います。

-競輪に慣れてきた?

小林:
そうですね。それもあって、レースで出し切ることが出来るようになったと思います。

■Chapter3:113期の仲間たち

-眞杉匠選手(栃木)との話はいろいろな記事に出ていますが、もともと仲は良かった?

小林:
いや・・・普通でしたね。クラスも違うし、養成所の時は眞杉が滝澤先生の道場(TE教場)にいて、自分はナショナルチームにいて養成所の練習に出ることがあまりなくて。
卒業してから連絡は取っていましたけど、ここまで一緒に練習をするような仲ではなかったです。

-どちらから「一緒に練習しよう」と声をかけたのですか?

小林:
卒業してからだいぶたっていたんですよね。去年の西武園オールスターの前に連絡して、「一緒にやろうよ」と。
オールスター終わった次の日にドームで練習しようとなったのですが、疲れてないのかな?大丈夫?と思っていたら眞杉が優勝して。連絡を取ってみたら
「本当に明日練習やるの??」
「やるよ!行くよ!優勝したけど練習やるよ!」と(笑)。
そこから練習するようになりましたね。森田(優弥選手・埼玉)も含めて、月に1回くらいのペースくらい。
自分も最近はグレードレースのあっせんになったので、スケジュールを見ながら合宿を組んでいます。

-113期といえばデビュー期のあっせんが過酷で(笑)、なかなか特別昇班が出なくて・・・。

小林:
そうですね。在校上位が一か所に集まるシリーズがあったり、9連勝ですんなり上がったのも少なかったですね。
自分も特進したのはどちらもレインボーカップでした。

-でも、代わる代わる活躍する選手が出てきて、デビュー後すぐの藤根(俊貴選手・岩手)だったり、宮本(隼輔選手・山口)だったり。

小林:
最近だと、中釜(章成選手・大阪)がいるじゃないですか。別府記念で決勝乗って。だいぶ練習しだしたと思います。

-そんな戦いもありながら113期は仲がいいと聞きます。

小林:
良く言われるのです。珍しいと。平原さんや宿口さんからも言われたことありますね(笑)。
だいたい、どの期も最初はライバル同士でバチバチすると聞きます。

-過去にベテラン選手に話を聞きましたが、ある程度年数がたって、選手として生き残っていると感じるくらいから「お互い頑張ろう」ってなるらしいですね。

平山信一ブログ特別回①

■Chapter4:群馬支部の仲間たち

-この一年を見ていて思うのですが、小林選手のまわりがつられているように見えるのです。たとえば潤二さんとか(笑)。

小林:
潤ちゃん(小林潤二選手・群馬)はすごいですよ!50歳すぎてまたS級1班に戻るの、十数年ぶりですよね。

-50代になって思うのが、上がり目なんてない。すべてにおいて下がっていく一方(笑)。
あと、群馬支部の話になるのですが、バンクで練習する選手が増えたように思います。たまに場外発売の時にバンクをのぞくのですが、ついこの前までは誰もいなかったり、いても2人とか・・・。

小林:
若手が出てきたというのもありますが、バンクに入って練習する選手は、増えましたね。群馬でも、佐々木(悠葵選手)、蕗澤(鴻太郎選手)がいて、篠田(幸希選手)、浮島(知稀選手)が出てきて。
みんな口には出さないけど「負けたくない。」と思っているはずです。

-篠田選手、見ていてどうですか?同じ中長距離出身ですが。

小林:
デビューしてからの自分にレースが似ているというのはありますね。
「もっと早くこういうレースを心がけておけば良かったな。」というのに気づいたのが自分は今、というのがありますが、篠田も同じかなと思います。
浮島はレーススタイルが違う、ドーンと行ってあとはどこまで持つかというレースをしているけれども、一番上を目指すとなると脇本(雄太選手・福井)さんや北井(佑季選手・神奈川)さんくらいにならないといけないわけで、その作戦以外でと考えると、何でもできるようになりたいですね。

■Chapter5:小林泰正の未来

-番手、三番手を回る機会も増えてきましたが、将来的なプランとして「追い込み転向」があるとしたら?

小林:
自力で取った時ですね。自力で取りたいですね。三山王冠もそうでしたが番手を回ったので自力ではなかったので、三山王冠が取れたのは嬉しかったけど、やはり自力で取りたいですね。まずは自力で記念を取って、タイトルを取って・・・。
デビューしたては自力自在、何でもできる選手になりたいというのがあったのですが、今はそれでは勝てない。今の競輪、レースに臨むにあたってセンスはかなり大事だと思うのです。まだ限界が見える年齢でもないですし、しっかりとタテで勝負していきたい。自力を捨てるっていうのは考えられないですね。

■Chapter6:もう一度デビュー時に戻って

-最後に、手元にデビューの時のスクラップがありまして・・・(前橋競輪発行のピストファンDome.com 2018年6月号)。
「どんな選手になりたいか」ということころに、「競輪選手としてはS級S班、オリンピックも金メダルを狙いたいですが、それより、皆さんに愛される選手になりたいですね。」と。

小林:
びっくりしました。デビュー前にそんなふうに言っていたんですね。いいこと言いますね(笑)。
ナショナルチームにいたので東京オリンピックを目指していましたが、枠が狭いのと、国内の相手が窪木(一茂選手・福島)さんや、(橋本)英也(選手・岐阜)さんだったので・・・。

-今日の報告会を見ていると、愛される選手になりつつあるのかなと思いました。場外発売の時のイベントってあまり人が集まらないのですが、多くのお客さんが集まって最後まで立ち止まっていて・・・。

小林:
競輪選手をやっていて思うのは、賞金もいいし頑張れば魅力的な職業だと思うのです。ただ、応援してくれるお客さんの存在は大きいと思います。
競技をやっていた時に応援してくれる人たちって、いわば身内じゃないですか。チームメイトだったり、学校の関係者だったり、家族親戚だったり。
競輪選手になって、会ったこともない、話したこともない、身内じゃない人たちが応援してくれる、自分が勝ったら喜んでくれるんですよね。
応援してくれる人たちのためにも、「泰正、何やっているんだよ!」というレースはしたくない。
振り返ると、デビューしてしばらくは、そういうレースが多かったと思います。
ただ、今は、たとえ負けたとしても、応援してくれるお客さんや買ってくれたお客さんが納得するというか、「ここまで頑張って負けたのだから、脚不足だな。」と思ってもらえるようなレース、出し切るレースをしたいですね。

平山信一ブログ特別回②

平山信一

平山信一

千葉県産千葉県育ち。2012年よりひょんなきっかけで前橋競輪実況を担当。スポーツ観戦が趣味。特に相撲と千葉ロッテとアイスホッケーに関しては語らせたら止まらない。家に猫3匹。