前橋競輪公営事業課長より新年のご挨拶(平山信一の「今日のひとりごと。」特別編)

平山です。あけましておめでとうございます。2025年の前橋競輪もよろしくお願いします。
本年の前橋競輪は・・・と打ったところで、私は考えました。
「ちょっと待て。私が2025年を語るより、前橋競輪のしかるべき方にお話をうかがったほうがいいのではないか。」

平山、動きました。おそらく前橋競輪始まって以来の企画、

「~新春特別対談~ 前橋市産業経済部公営事業課・大塚直樹課長×前橋競輪実況アナウンサー・平山信一」

が、今回の「平山信一の今日のひとりごと」です。

昨年・今年の、そして将来の前橋競輪について大塚課長にじっくりとインタビューしました。どうぞお読みください!

平山信一ブログvol.108

<2024年を振り返って>
【平山】
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
まず2024年の前橋競輪を振り返って・・・。
三山王冠(前橋競輪開設74周年記念)では地元の小林泰正選手が制して大きく盛り上がりました。

【大塚公営事業課長(写真・以下、大塚課長)】
お客様のおかげで、6月の三山王冠の売上が好調でした。
目標を上回る62億あまり、三山王冠としては平成25年(2013年)、浅井康太選手が制して以来久しぶりに60億を突破しました。
ドームに天候は関係ないですが、ご来場されるファンの方にとって天候は大事で、その天候も良かったですし、また、月初めの日程で開催したのも売上向上に寄与したと思っています。

【平山】
大塚課長の肌感覚として今年度の売上推移はどう感じていますか?

【大塚課長】
当初予算で270億円の車券売上を想定していましたが、300億を超えるくらいまで行くのではないかな、と思っています。
昨年度が270億ほどですので、今のところは昨年度を上回る売上推移だと思っています。

【平山】
競輪開催の目的の一つに、市の財政に寄与するというのがあります。
売上不振の時にはなかなか厳しかったのですが、今年度予算では3.5億の繰出金を予定しています。

【大塚課長】
私が初めて競輪事業にかかわったのが2011年だったのですが、その時は1億を繰り出すのがやっと、という状況でした。
ようやく2億、3億といった繰出金を毎年コンスタントに出せるようになって、良くなってきたなあ、と感じています。
特にミッドナイト競輪を始めて(2012年2月スタート)から好転しましたね。
昨年度の前橋競輪の収益で得た繰出金は、前橋市のホームページにありますが(https://www.city.maebashi.gunma.jp/material/files/group/12/R5_keirin.pdf)、教育事業などの整備に役立っています。

【平山】
私はボートレースにも関わっていて、この数年特に感じるのですが、場内に若いお客様が増えたなと。
購買層が世代代わりしたなと思っています。

【大塚課長】
インターネットで前橋競輪を買うお客様は確実に若い層ですね。
ただ、グリーンドームで紙の車券を購入していただく方は年配の方が圧倒的に多いです。
同じ群馬県にあります、伊勢崎オートレース場やボートレース桐生を見ていますと、来場するお客様の層が老若男女にわたっていて、正直うらやましく感じます。
競輪業界の弱点だと思うのですが、ミッドナイト開催が増えたことにより、なかなか生でご覧いただける開催をお客様に提供できる機会が、非常に少なくなっていると思います。

<2025年の前橋競輪>
【平山】
2025年の前橋競輪についてもおうかがいします。10月には久しぶりに寬仁親王牌がやってきます!

【大塚課長】
『第34回 寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント』を10月23日(木)から26日()まで開催します。前橋では3年ぶりの開催になります。

【平山】
また3月には、今年度もうひとつのG3開催もありますね。

【大塚課長】
3月27日(木)~30日()の日程で、ウィナーズカップが終わったすぐ後ではありますが、週末開催にS級選手の走りをお客様に提供できる機会を誘致できてよかったと思います。
前橋公園はお花見の季節で、多くの方がグリーンドーム周辺に来られる時期でもあります。
お花見のついでにグリーンドームに寄っていただいて、競輪をちょっとでも見ていただければ、将来にもつながるかなと、そういう開催になると期待しています。

【平山】
前橋公園の屋台で買ったものを「座って食べたいなあ・・・」となった時に、グリーンドームに来ていただいてゆっくり座って、競輪も楽しんでいってほしいですね。

【大塚課長】
まず来てもらって、見てもらって、というのが大事だろうと思います。
現状は、週末の開催が少ないという状況ではありますけれども、今後も頑張って日程を確保していきたいなと思っています。

【平山】
週末開催というところでは、お子さま向けイベントが2024年も多く開催されました。

【大塚課長】
その事業は前橋競輪でも力を入れているところです。
競輪観戦がメインではなくても、ちょっとでも競輪を見たなあというのが印象に残ってくれれば、将来につながると思います。
私も子どもの頃は、父に連れられて外の400バンクだった時の前橋競輪場に来ていました。
「前橋には競輪場があったなあ」という記憶が残っていれば大人になった時に思い出していただけるのではないかと思います。

【平山】
前橋の若い方にグリーンドームのことを聞くと「成人式をする場所だ」とみんな言います(笑)。
河内桜雪選手はグリーンドームに連れられてガールズケイリンを見て、「競輪選手になる!」と決めたと聞きました。
そういう形で繋がっていくといいですね。
あと、2025年に期待したいのは群馬選手の活躍です。

【大塚課長】
小林泰正選手や佐々木悠葵選手が2024年に初めてG1決勝に乗りました。
恩田淳平選手もG2の共同通信社杯でビッグレース初決勝もありました。
20代、30代の選手が出てきていますね。

【平山】
あとは、タイトルを取るだけ、その一歩手前まで来ていると思います。

【大塚課長】
取って欲しいですよね。そうしたら平山さん、(祝勝会の)司会やるんでしょ?

【平山】
やります、やります。ノーギャラでやります(笑)。
前橋競輪でやり残したのは、G1祝勝会の司会と、競輪グランプリin前橋の実況くらいです(笑)。
郡司浩平選手や古性優作選手のG1祝勝会の記事を読んだ時に、やりたいなあ、出たいなあ、と思うんですよね。

【大塚課長】
羨ましいですよね。前橋では久しくやっていないわけですから。
祝勝会は選手会支部が音頭を取って開催すると聞いていますが、我々も、協力できる日が来るのを心待ちにしています。
今年は、前橋市が開催する寬仁親王牌がありますし、2024年は三山王冠をようやく地元選手が取ったわけですから、次はG1、タイトルを取って欲しいと思います。

<将来の前橋競輪・グリーンドーム>
【平山】
2024年はエスカレーターの改修工事がありました。
平成22年頃からですか、グリーンドームの改修が始まっていて、ちょうど(インタビュー日の)今日も配管工事の真っ最中でしたが、最近の物価高にはグリーンドームの維持改修といった面では悩まれているのではないでしょうか。

【大塚課長】
物価があがって、事業を担当する立場からいっても厳しいものがあります。
たとえば4年スパンでやりましょうという工事があったとします。
その工事を5年スパンですることなどで、工事にかかる1年ごとの費用を平準化していく必要があります。

【平山】
グリーンドームに初めて来た知り合いに「もうこの建物30年以上前のなんだよ」というとびっくりされるのです。

【大塚課長】
幸い、今は建物本体としての問題はないのですが、グリーンドームの耐用年数は65年とされています。
1990年5月に完成していますので、そこからすると耐用年数の半分以上過ぎているんですよね。
例えば、グリーンドームを建て替える、となると、代替地の確保、新設、そしてグリーンドームを取り壊さなくてはいけない、その費用だけでかなりの金額が予想されます。
グリーンドームの建設費が180億ほどでしたが、今、同じものを建てるとして、とてもその金額ではまかなえないと思います。

【平山】
1990年から65年後といいますと、2055年ですか・・・。私が82歳・・・。ですが今から考えれば30年しかないわけですね。

【大塚課長】
その頃には私は前橋競輪の事業にかかわっていないわけで、建て替えなど具体的な内容は将来の世代に委ねるとしても、今、我々事業担当課ができるのは、もちろん、先ほど話に出た繰出金もとても重要ですが、基金積立金という将来の支出に備えた基金に、少しでもたくわえをすることなのかなと思っていまして、関係各所にお願いしているところです。
前橋競輪という事業を長く継続していくために、一般会計、前橋市民の皆さまのお金から、というのはなかなか市民の皆さまの理解が得られないと思います。
私は前橋競輪に育てられた身ですので、前橋競輪が長く続けられるように今のうちから備えておきたいというのが、正直な気持ちです。

<番外編:競輪場が職場になることとは>
【平山】
私、公務員経験があるのでわかるのですが、公営事業課は、前橋市役所の仕事の中でもかなり特殊だと思います。
大塚課長が初めて公営事業にたずさわった時はどういう風に思われたのですか?

【大塚課長】
もともと、財務関係や公営企業体の仕事が長かったのですが、2011年に着任した時は、「モノを売っている仕事があるんだ。車券を売るために努力している職場が前橋市にあるんだ。」と思いました。

【平山】
いわゆる、月金9時5時の仕事ではないどころか、盆暮れ正月ゴールデンウィークと仕事がある職場でもあります。

【大塚課長】
ちょうど前橋競輪場に来たタイミングで、ミッドナイト競輪が始まったのですが、15時出勤24時退勤の業務にも驚きました。
週末も一年の半分くらいは仕事で、ちょうど子育て時期と重なっていたので、家族も大変だったと思います。

【平山】
私たちの年代と比べて、生活スタイルや働き方が変わってきていますけれども、この先の前橋競輪を下支えする職員の皆さんももちろん必要になってくると思います。

【大塚課長】
そうですね。若い職員は自分の時間を大事にする意識がより強くなっていると思います。
競輪事業にかかわる人材育成は課題の一つであります。私も、ずっと前橋競輪場にいられるわけではないわけですから、この先、持続可能な競輪場として将来も前橋競輪が残れるように、お客様もそうですし、施設もそうですし、職員の人材育成とあわせ、事業が継続できるように種まきをしていきたいと思っています。

平山信一

平山信一

千葉県産千葉県育ち。2012年よりひょんなきっかけで前橋競輪実況を担当。スポーツ観戦が趣味。特に相撲と千葉ロッテとアイスホッケーに関しては語らせたら止まらない。家に猫3匹。